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先天性股関節脱臼
予防と早期発見のポイント

2021/07/09

「先天性股関節脱臼」は、赤ちゃんの股関節が外れた状態になる疾患です。
出産後の赤ちゃんの扱い方によって後天的に発症することも多いことから、最近では「発育性股関節形成不全」とも言われています。
股関節の成長が進むほど、治療が難しくなりますので、早期の発見や治療が重要となります

股関節脱臼になりやすいとされるチェック項目や、予防・早期発見のためのポイント、仰向けに寝ているときにどちらか一方ばかりを向いてしまう「向き癖」の対処法について紹介していきます。

目次

要注意チェックリスト

日本整形外科学会・日本小児整形外科学会は、以下のチェック項目のうち複数が当てはまる場合、股関節脱臼にならないよう赤ちゃんの育児習慣について特に注意する必要があるとしています(注1)。
1向き癖があり反対側の脚がM字型開脚とならない
2女の子
(男の子より関節が柔らかいため)
3家族に股関節の悪い人がいる
4逆子(骨盤位)で生まれた
5寒い地域や寒い時期(11月~3月)に生まれた
(脚を伸ばして衣服でくるむことが多いため)
複数当てはまったり、すでに向き癖がついていたりする場合は、これから紹介する予防のためのポイントや向き癖の対処法をぜひご覧ください。
当てはまらない場合も、今後赤ちゃんが股関節脱臼になるリスクを減らすため、予防や早期発見のためのポイントを理解しておくことをおすすめします。

予防のためのポイント

先天性股関節脱臼は、多くの場合、生まれてからの赤ちゃんの育児習慣を気を付けることで予防が可能とされています。
予防のためのポイントを紹介します。
ポイント1

寝ているときは
M字型開脚を基本に

・赤ちゃんは、脚と股関節がしっかり曲がってM字型に開いている状態が、股関節脱臼になりづらく自然な状態です
・赤ちゃんが仰向けに寝ているときは、このM字型開脚の姿勢が基本となるようにしましょう
ポイント2

服やおむつが
きつくないかチェック

股関節や脚が固定され、しっかり曲げられずに伸びた状態になると、脱臼が生じやすくなってしまいます
・足の動きを妨げないように、以下の点に注意しましょう
脚や股関節周りに余裕のある服を選ぶ
サイズの合ったおむつ締めつけすぎずに使用する
重ね着する寒い時期は特に、脚や股関節周りを締めつけすぎないよう注意する
おくるみなどでくるむ際も、脚が伸びた状態で固定されないように注意する
ポイント3

抱っこは
コアラ抱きがオススメ

・赤ちゃんが両脚をM字型に広げ、大人の体に正面からしがみつく形となるコアラ抱き(コアラ抱っこ)
・脚や股関節がしっかり曲げられるので、股関節脱臼になりにくい抱き方とされています
・対面抱き用の抱っこひもを利用することで、自然なコアラ抱きの姿勢が保てます
スリングは赤ちゃんの脚が伸ばされた状態になりやすいので、注意が必要です
・スリングを使用する場合はなるべくコアラ抱きをし、横抱きをする際は赤ちゃんの脚が長時間伸ばされて固定された状態にならないよう気を付けましょう

コアラ抱きについてはこちら

「コアラ抱き」の
抱き方・コツ・注意点
コアラ抱きの抱き方や、コアラ抱きをする上でのコツ・注意点を紹介します。
ポイント4

向き癖には早めの対応を

・寝ているときに、顔や体がいつも同じ方向を向いてしまう「向き癖」
・ほとんどの場合、成長に合わせて自然と直っていきますが、向いている方向と反対側の脚がM字型開脚の姿勢にならず立て膝や伸びた状態になってしまっている場合は、股関節脱臼が生じやすく注意が必要です

向き癖への対処法

対処法1

寝かせるときの
位置を工夫する

・添い寝する場合、向き癖のある方とは逆の方に大人が寝る
・ベッドに寝かせる場合は、向き癖のある方を壁側にしてベッドを配置する(部屋側に大人がいるので、向き癖とは逆の方を向きやすくなる)
対処法2

向き癖がある方を向く
横抱きを避ける

・横抱きする際は、赤ちゃんが向き癖がある方を向くことになる方向で抱っこすることはなるべく避けましょう(向き癖が右側の場合、赤ちゃんの頭が大人の左腕側に来る横抱き)
・まだ向き癖がついていない場合は、予防のため、毎回同じ向きで抱っこしてしまっていないか確認を
対処法3

向き癖がある方の
体を高くする

赤ちゃんの向き癖がある方の体の下に、タオルやクッションなどを入れて、頭から体にかけてを少し高くしてあげます
・向き癖と反対側の脚(立て膝になったり伸びてしまっている脚)が開脚し外側を向くようにします

早期発見のためのポイント

3~4ヶ月健診の際に、股関節脱臼の検査が行われますが、万が一見落とすことのないよう、家庭でも既に紹介した要注意チェックリストに当てはまる項目がないかのチェックや、以下の早期発見のためのポイントのチェックを行ってみてください。
チェック項目にあてはまる状態を放置していると、股関節脱臼につながりかねません。
気になる点や不安がある場合は、健診以外のタイミングでも、念のため整形外科や小児科を受診してみると良いでしょう。
ポイント1

M字型開脚の姿勢が
取れていない

・赤ちゃんがあお向けに寝ているとき、向き癖がついている方と反対側の脚が、M字型開脚の姿勢になっておらず常に立て膝になったり伸びてしまったりしていないか確認しましょう
ポイント2

脚の付け根が左右非対称

・向き癖と反対側の脚の鼠径部(付け根辺り)の皮膚が赤くなっていたり、付け根のしわが深く長くなっていたりなど、左右の脚で違いが見られると、股関節が開きにくくなっている可能性があります(※イラストは患部のイメージ)
※注1
日本整形外科学会・日本小児整形外科学会「先天性股関節脱臼予防と早期発見の手引き」p.1 http://www.jpoa.org/wp-content/uploads/2013/07/161117.pdf
※参考資料
日本整形外科学会・日本小児整形外科学会「先天性股関節脱臼予防と早期発見の手引き」http://www.jpoa.org/wp-content/uploads/2013/07/161117.pdf

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